抵当権の設定登記です。
1.抵当権は土地及び建物の所有権の他、地上権と永小作権にも設定することができます(民法369条1項2項)これに対し賃借権を目的としては抵当権は設定することはできません。抵当権の目的物は競売により売却できるものでなければならず賃借権を譲渡するには賃貸人の承諾を要するためです。
また賃借権には原則として登記請求権が認められていないため、この点においても賃借権を目的物とはできません。通常の抵当権設定登記の書式例です。

2.一筆の土地の一部を目的としては抵当権を設定することができます。但し第三者に対抗するためには分筆して一筆の土地とした上で抵当権を設定しなければなりません。

3.所有権の一部や共有持分の一部には抵当権を設定することはできません。独立性・特定性に欠けるため一物一権主義に反します注意するのは持分全部に対しては登記することができるのとの違いです。
土地の1/2に対して設定するとした場合、それが持分1/2である場合には持分全部に対しては設定できますが全部が自分の所有であるのに半分だけ設定するということはできないということです。

4.「原因」に1個の債権の一部を被担保債権とする抵当権は設定できます。書式例をご覧ください(年月日金銭消費貸借金1,000万円のうち金500万円同日設定)と記載します。

5.数個の債権を併せて担保する1個の抵当権も設定できます。書式例をご覧ください。「原因」に【(あ)年月日金銭消費貸借(い)年月日金銭消費貸借年月日設定】と記載します。「債権額」は被担保債権(あ)(い)の合計額を記載します。債権額の後に「内訳」として(あ)金1,000万円(い)金500万円と記載します。

6.債権者が数人であるのに1個の抵当権を設定することはできません。但し債権を準共有しているのであれば設定は可能です。 

7.抵当権の被担保債権となり得るものは金銭債権に限られません。但し、抵当権は最後には目的物を競売して競売代金から優先弁済を受けることを目的としていますので、例えば物の引き渡し請求権であればその債務不履行による損害賠償請求権として金銭債権に転化する権利でなければなりません。

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